初回10回の財務DDシリーズ1は、”思いつき”のシリーズです。今日は過去の案件から1つ(約10年前の案件について)ピックアップします。なお、個別会社名は出しませんし、いまとなっては報告書もありませんので記憶の断片からの書き落としです。
1.対象事業
2.製薬のプロセス
3.無形資産評価
以上のポイントで書きます。
1.対象事業
訪問先は、某大手上場会社のある事業部門でした。場所は東京、わたちのチームは3人で現地に入りました。実は、その事業部門は当上場会社の創立に関係する歴史ある部門でしたが、「選択と集中」により本業から切離すことが決定され、買い手(クライアント)はその事業を、自身の事業のいち製造プロセスとして取込みたいという案件でした。
つまり、会社買収ではなく「事業譲渡、事業譲受」のM&Aでした。
ちなみに事業譲渡の場合には、以下の論点がでてきます。
1.カーブアウト:会社から該当事業に関する資産負債、損益、CFを切出す必要がある。
2.スタンドアローンイシュー:譲渡後には、それまでの組織で賄われていた機能(財務、経理、研究開発、人事、など)が切り離されるため、譲受側がそれらの機能を補う必要がある。
1.に関しては、カーブアウト自体に準備、検証が必要になりますし、2.に関しては、前後で経済的負担の変化の有無の把握が必要になります。
従いまして、単に会社自体の買収よりも、場合によっては双方に「手間」が生じます。
2.製薬のプロセス
個人的に製薬プロセスはあまり遭遇しないため印象的でした。製薬や研究に関わる方は当然ご存知だと思うのですが、研究はすごく「地味」「地道」な工程でした。研究者の方々はひたすら、抗原抗体反応をテストされるのですが、遠心分離機にかけて何千回というような試験を繰り返されていました。
単に、記憶の書き出しでした・・・
3.無形資産評価
2012年でしたので、約10年前になりますが、実はこのとき私が初めて無形資産評価(PPA)を実施しました。
事業価値算定も同時に実施したのですが、そこで「のれん」の計算がなされ、そののれんを無形資産に分解する評価としてPPAをしました。その際「特許権」を識別評価しました。
因みに、M&Aの際、「のれん」を無形資産に分解・識別評価しない場合も結構あります。
しかし、その買収で「何を買った」のかを明確にすること、社内、社外に対して表明することの意味があり、また、のれんと分けて無形資産を償却するなど財務的な意味合いもあります。
現在も、KKFASにて、無形資産評価を行っております。では。
Comments